予告編
そこは戻ることができない心の故郷
2008年、岐阜。97才の篠田千代さんのもとに送られてきた一通の手紙。
そこには見覚えのある花が同封されていた。
70年以上も前、はるか北の戦場、
キスカ島に散った夫から送られた押し花に似た花。
今は立ち入ることができない、極北の地に咲く「心の故郷」の花。
手紙の送り主は、夫の命を奪った米潜水艦グラニオン号艦長の息子たちだった。
彼らはなぜ70年近くたった今、千代さんに花を送ったのか。
花に込められた想いをたどっていくと、日本人、アメリカ人、アリュート人。
たくさんの人が語り継ぎたい「心の故郷」が、霧のむこうで待っていた。
戦後75年、無人島として放棄された知られざる戦地、アッツ島とキスカ島。アリューシャン列島に属し、アメリカ領で唯一日本軍に占領された島々には、いまも戦争の記憶をよびさます残骸が眠っている。
日本の撮影カメラとして戦後初上陸。制作期間10年。ナレーションは俳優の 長谷川博己 氏。
クレジット
監督・脚本:小川 典
プロデューサー:平野 晃弘
撮影:池村 泰貴
音楽:苗加 琢人
タイトル:駒形 克己
アソシエイトプロデューサー:星野 敏子
ナレーション:長谷川 博己
メッセージ
「98歳の女性の元に、夫が眠るキスカ島の花が67年ぶりに届いた」
全ての始まりは、2009年に目にしたこの新聞記事でした。
女性の夫は、太平洋戦争により徴兵された民間人。
駆潜艇の艇長として、極北の地・アリューシャン列島に浮かぶキスカ島に配属。
戦地から妻に宛てて送った手紙に添えられていたのが、キスカの花。
この手紙の投函直後、米潜水艦グラニオン号により、キスカ沖に沈没。
67年後に、女性が再び手にしたキスカの花の送り主は、
その米潜水艦グラニオン号の艦長の息子たちだった…
今回実現したキスカ島・アッツ島への取材を通して、
“忘れられた戦争”の知られざる物語、亡くなった人たちの想い、
その想いを辿り続ける遺族たちの活動を目の当たりにしました。
この作品を通して、
「行きたくても行く事が出来ない」アリューシャン列島の美しい景観、
戦時中に多くの兵士たちが手にしたという美しい花々とそこに込められた想いを、
広く知らせることが出来ればと願っています。
監督 小川典
写真
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